可逆圧縮うそつきごっこ

ああっおにいちゃーん!この世界がわたしにとって都合の良いものに作り変えられますように。カワセミ:https://kawasemi.cloud/@nekochanohayouくるっぷ:https://crepu.net/user/nekochanohayou(230414〜)箱:https://odaibako.net/u/nekochanohayou(220828移行)手ブロ生息:http://tegaki.pipa.jp/434586/ギャレリア:https://galleria.emotionflow.com/s/38630/
ああっおにいちゃーん!この世界がわたしにとって都合の良いものに作り変えられますように。
カワセミ:https://kawasemi.cloud/@nekochanohayou
くるっぷ:https://crepu.net/user/nekochanohayou(230414〜)
箱:https://odaibako.net/u/nekochanohayou(220828移行)
手ブロ生息:http://tegaki.pipa.jp/434586/
ギャレリア:https://galleria.emotionflow.com/s/38630/
妄想と幻書

妄想と幻書

質問箱です。
ありがとうございます。
大変お待たせしました、読んできました。

普段文芸しか読まないし勉強しない転校生なのでビジネス書とか最後に読んだの何レベルで非常に不安ですが大丈夫でしょうか。
紙の本はいまやハードルが高い趣味でありお金も時間もなかなかかけられないという人が多いかと思います。映画一本観る時間が惜しいから早送りとかいう時代です。更に本というのは「合う合わない」がものすごく多いため、他人におすすめしなくてはならない場面ではなるべく無料で読めるものしか挙げてこない主義なのですが、とりあえず検索の参考程度になればいいかなということでちょっと方針を変えたので気になったらAmazonなんかでレビュー読んで暇つぶしくらいにしてください。
おすすめされたから必ず読まなきゃ、感想言わなきゃというものではありません。
ということでここまでが前置きと責任回避のためのあれこれです。

ワードセンス欲しいし構成力と物語的展開が面白くならないので全然小説書けていない女のことあんまり褒めちゃだめだよ。ありがとうございます。
愛用辞書は大辞林です。紙版をぺらぺらめくってタイトル探しをしています。約30連で購入できます。消費税が上がる前に九千円で購入しましたがいまはどうなっているかわかりません。
検索版の方が当然便利で多用しています。しかし関連検索で自分が一生出会わない単語に出会える確率が狭まる印象があって頑なに紙派でいます。ただの意地です。無人島行くなら辞書持っていくかな。

読書初心者向け……ということですが、ビジネス書読める時点で初心者ってよくわからないので悩みました。向き不向きはあるかとおもいます。例えば刑事物サスペンスは読むけど剣や魔法が出てくるファンタジーは苦手だとか、なろう系は読むけど文芸がそもそも苦手だとか。ホラーは読まないけどねっとり系の恋愛小説は大好きとか。主人公が男が嫌とか既婚者だと感情移入できないから嫌だとか。長いのは嫌だから短編がいいとか。
今回質問の中で「ワードセンス」「ユーモア」が挙げられていたので、直近三ヶ月に買った本の中でワードセンスとユーモアを感じる作家を紹介いたします。わたしは読んだ本についてしか書くことができません。


そろそろ短編集をまとめて欲しいな、小田雅久仁

『髪禍』現在アンソロ収録のみ、短編
 子供の頃から髪を切られるのが嫌で嫌で……。中学に上がるくらいまでは浴室で母に髪を切られていたのだが、終わったあと、散らばった髪を自分でかき集めてしまつしろと言われる。それがもう身震いするほど気持ち悪くて、いつも全身に鳥肌を立てながら拾っていた。

バイトで新興宗教に関わる話。
超バッドエンドなのにラストシーンの駆け抜け方が最高に狂っていて笑った。びっくりするくらい朝日が綺麗なイメージ。
髪、新興宗教ということで割とホラーなんだけど心霊現象とかじゃなくてクトゥルフ的なホラー。髪の毛で制服を作る百合漫画とかこの世にはあってわたしも好きなので読んでいるけれど、この話に出てくる髪でできた服は美しさとかそういうんじゃなくて「人間の一部からできているんだ」という不気味さがひしひしと滲んでいる。
途中で女を殴る男の見分け方の文章が出てくるんだけど、それをつらつらと書いていくのが妙にリアル。


『人生、信号待ち』アンソロのみ収録、短編
 世の中には余計な計算をして人々の気を滅入らせる連中がいる。人間が一生のうち何十年眠っているかとか、男が一生のうち何年間、淫らな妄想に耽っているかとか、女が一生のうち何年間、鏡に向かって化粧をしているかとか、その類の計算だ。それを聞かされると、何やらもうこれまでの人生を随分と怠けてしまった上にこれからの人生の分まで前借りしてすっかり怠けに怠けてしまって、いよいよ取り返しがつかないような心持ちになってくる。しかも、だからと言ってやめるわけにもいかないようなことばかりで、誰も得しない。

ひょんなことから信号待ちを長期間に渡り強いられる男と女の話。
この作家、Aに向かうためのBという文章にCとDとEのオプション情報をAに繋げまくってくるのがとても上手くて好きなんですけど、例えば
 彼女はかなり可愛い。彼女も自分が可愛いことを重々承知していて、可愛いでしょあたしみたいな露骨な顔をしないように気を付けているのよあたしみたいな澄ました顔をしている。

というような文章がものすごく出てくる。この短編は顕著です。
オチはなんか寂しいかな。


『残月記』双葉社、単行本
結構売れているのでたぶん待ってれば文庫が出る。本屋大賞ノミネートなので手を取りやすいのがこいつ。
「そして月がふりかえる」「月景石」「残月記」の三編を収録。
 一歳のころ、高志は自分の影に怯え、それを足の裏から引き剥がすべく泣きながら店先で踊り狂ったという。手を上げれば黒いものも手をあげ、足をあげれば足をあげ、どれほど必死に走りまわろうとも寸秒の遅れもなくぴたりと喰らいついてくる。跳び上がればほんの一瞬だけ引きはなすことができるが、黒いものは彼がいつどこに着地するかを彼以上に心得ていて、やすやすと先回りしている。

引用は「そして月がふりかえる」冒頭。
自分そっくりの誰かにある日入れ替わられてしまい、築き上げてきたものを奪われる男のはなし。ホラーっぽい。3種類全部系統が違っていて、例えば表題作の「残月記」は月の満ち欠けによる病が題材。パロとかするならこいつが一番同人的にウケんのよなと思ってしまった。
わたしはあんまり合わなかったために半分読みかけです。全部読んだら好きになるかもしれない。


『本にだって雄と雌があります』新潮社、長編、文庫あり
 あんまり知られてはおらんが、書物にも雄と雌がある。であるからには理の当然、人目を忍んで逢瀬を重ね、ときには書物の身空でページを絡めて房事にも励もうとし、果ては後継をもこしらえる。

まだ全部読んでない。そのうち読む。


というわけで自分が読んだ範囲でのご紹介でした。
読書は自分と本の孤独な戦いであると考えているので、もし読む機会があるときは偏見などとっぱらって、ここで読んだ紹介はふーんとかへーで流してしまってください。世間のレビューじゃねえ、自分の感想を貫けよ。面白いと思える一冊に出会えればそいつは人生の宝になると思いますので、素敵な読書体験が訪れることを願っております。
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