人生は歩き回る影法師 | 可逆圧縮うそつきごっこ

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ああっおにいちゃーん!この世界がわたしにとって都合の良いものに作り変えられますように。箱:https://odaibako.net/u/nekochanohayou(220828移行)くるっぷ:https://crepu.net/user/nekochanohayou手ブロ生息:http://tegaki.pipa.jp/434586/ギャレリア:https://galleria.emotionflow.com/s/38630/カワセミ:https://kawasemi.cloud/@nekochanohayou
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人生は歩き回る影法師

人生は歩き回る影法師

21列目サイドでも結構見えたので許す。

演出により解釈が分かれるので演劇ってやめられねーなと思いました。
あのねえすごかった、マイムマイムでフロアが沸いてた。嘘じゃないの、DJブースに吉田鋼太郎がいたの。ばか笑うわ。

あとで感想を追記します。


↓↓↓ここから追記


マクベス、王になるという野心さえなければ上手くいっていたに違いない戦闘能力が高い不定の狂気男すぎる。

演出により解釈がまるで変わるのがシェイクスピア劇の面白い部分だと思っているのですが、もうマイムマイムでフロアがあったまってヘイ!ヘイ!水が出てきて嬉しいHEY!!しか感想が出てこねえんだ助けてくれ。
何言ってるのかわからないと思うが本当なんだ。上段に設けられた大釜がDJブースのごとく機能して魔女の吉田鋼太郎がフロアという名の客席を温めながら八人の幻影とマクベスを回転させながらマイムマイムを踊り狂っていたんだ。
狂っている。

開幕、三人の魔女が背後から客席通路を走って登場するのだが、二列目通路側のお客さんからハンドバッグ借りてそれを持って登壇してセリフを喋るもんだから面白すぎて全然入ってこなかった。おまけにバッグを投げて返却してた。無茶苦茶すぎる。大好きだ。

マクベス夫人はビンタをかますタイプの夫人だった。苛烈だ。
驚いたのは「ダンカン王が父親に似ていたから自分の手で殺めることができなかった」という部分。地団駄を踏んで悔しがっていた。わたしは初めこれを怖気付いて自分の手では為すことができなかったというような静かなうめきのようなセリフとして捉えていたんだけど、地団駄を踏むような言動が伴うということは、それは憎悪であるわけでしょう?
憎悪。憎悪なんだ。
夫人は明確に王を憎んでいたんだ。
で、これの根拠はなんだろうと考えたときに、プログラムの吉田鋼太郎の文章が思い出された。
要約「マクベス夫人は子供を産んだことがあるというセリフがあるが、実際マクベスと夫人の間には子供はいない。ではなぜそのようなセリフが出てくるかを考えたときに、夫人は隣国から連れてこられたような経緯があるのではないか」
かつて子供がいたかもしれないが、今はいない。それはダンカン王が理由かもしれず、もしかしたら前夫の血族であるが故に子供は殺されたのかもしれない。

世間的にはマクベス夫人は、ダンカン王を殺すようにマクベスを唆す悪女とされる。マクベスが王になることを望んでいたのは夫人だし、ありとあらゆるものに不信を抱いていたマクベス自身には野心は薄い。無いとは言い切れない……夫人が王を暗殺するよう唆すのだから、その前段階でマクベス側から夫人に何かしら話をしていたのだろう。
予言の効力と夫人の後押し。
自分の夫を王にしたいのではなく王を殺して欲しかった復讐の女。
そうだとわかっていても叶えようとするなら、マクベスが夫人のことをめちゃくちゃ愛してるんだなと思った。
実際めちゃくちゃ愛していた。

バンクォーの亡霊が出てくるシーンがアイディアロール成功した時の狂気すぎて本当怖かった。DV男の食卓が始まっていた。
お盆とかパンとかめちゃくちゃ投げるんだけど、戴冠式の客がみんな帰って夫人と二人で話すときには何事もなかったように平然と飲み食いしてるのが怖くて震えた。なんて魅力的な男なんだ。

っていうか土屋太鳳ちゃんが小さくてかわいいんだわ〜〜〜!マクベスに抱きつくときにジャンプして思いっきり背伸びしてて、きゃ、キャワ〜〜〜!!厄介CP厨の爆誕である。開幕の夫人のドレスが黒のビロードみたいなやつで、後ろがひたひたに引きずるタイプなんだけど、それが自身の影みたいに着いてくるのがとてもよかった。影法師というのがマクベスの主題の一つでもあると思うんだけど、まさに影であって美しかった。
戴冠式の時に着ていた白のサテンみたいなドレスが跪いたマクベスの片足に引っかかった時にぐいって引っ張るんだけど、その時の衣ずれの音が心地よくて忘れられない。
最初の手紙を読む夫人の長台詞にも憎しみが感じられてよかった。あの瞬間が一番霊性に満ちていた気がする。好きだ。

今回のマクベスってSAN値が5くらいしか無い状態でスタートしてるから葛藤とか苦悩とか慟哭が凄まじいし泣いちゃうような役だったんだけど、夫人って「もおおおおう!なんで凶器持って来ちゃったの!?寝室に置いて来なさいよ!血も従者になすりつけて来なさいよ!あんたがやらないならあたしがやってくるから!」みたいなタイプで、いや実際そうなんだけど、でも最後まで一蓮托生なのかと考えると夫人は最後罪悪感に呑まれて夫と距離置いてそうだったし、逆に夫は夫人のこと愛してたから突き進んでてそこの差も良かった。そう考えるとラストの夫人が亡くなった知らせを聞いてそこからもう一回エンジンかけなきゃならないのって、心理的にすごいなとも思う。予言を成就させるエネルギーというか、予言に型をはめようとしたが故のどうにもならなさというか。狂ってんだけど。

殺人の直後に響く門を叩く音って本当に怖いからあれは劇場で味わったほうがいい。雷鳴も慟哭も主演の生首もそこにはある。

今回ヘカテーって出て来た?セリフごと全部なかった気がしてならない……わからない……覚えていない……
バンクォーは飄々と喋るだけで怪しいから予言とか関係なしに早めに倒しておこうと思うキャラですごかったです。
マクダフは上半身が身が詰まってるみたいな体格でよかった。
マルコムは例の長台詞で結局「おまえいま自分が童貞であることしかしゃべってないやん」という優しい気持ちになれた。

翻訳は白水uブックスの小田島訳だったんだけど、開幕の魔女のセリフは小田島訳だと「いいは悪いで悪いはいい」になる。
わたしは福田訳で育ったので「きれいは穢ない、穢ないはきれい」である。
このあとのマクベスのセリフへの繋がり方も変わる。
小田島訳は「こんないいとも悪いとも言える日ははじめてだ」
福田訳は「こんないやな、めでたい日もない」
に繋がる。同じ言葉で韻を踏まなくてはならない。
小田島役は演じる向きだが福田役は読む用だなと感じてたまらない気分になる……翻訳は何冊あってもいいですからね……

あと思い出したら書きます。
体力いるけどとっても面白かったです。
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